軌道上観測による微小デブリ環境推定手法の構築

摘要

人類の宇宙活動に伴うスペースデブリの個数およびそれによる宇宙開発・利用のリスクは，年々増大している．大きなデブリは地上から監視することにより，回避などの対策を行うことが可能である．一方，2 mm よりも小さなデブリは地上から検出することが不可能であり，1)スペースシャトル表面の衝突痕などによりその存在が知られているのみとなっている．しかし，そのような微小なデブリであっても大きな運動エネルギーを持ち，宇宙機にとっての脅威となる．地上試験では0.3 mm のアルミニウム粒子の衝突によってケーブルハーネスが破断されることが示されており，軌道上で宇宙機の重要な構成要素に微小デブリが衝突すれば宇宙機全体が機能喪失する可能性がある．そのような事故を防止するためには微小デブリの衝突に耐え得る防護設計を宇宙機に施すことが必要であり，微小デブリの環境を正しく把握することが不可欠である．