スタンダードを思い巡らして--(2)長さの単位から生活世界へ

摘要

「キログラム原器廃止へ」の一面見出し。120年使われてきた質量の単位の定義「キログラム原器」が，将来廃止され，新しい定義へ移行することがパリ国際度量衡総会で決議されたという（朝日新聞平成23年10月22日）。すでに時間の単位も長さの単位も原子時計をもとに定義されているから，質量の単位が未だ人工物によっているアンバランスは驚きである。長さの単位は，身体を基準とした単位系である身度尺あるいは身体尺から，18世紀末地球の子午線の長さ4分の1の1000万分の1を1mに定め，1889年国際メートル原器に表現，1960年ものから離れクリプトン原子の出す光の波長に，さらに1983年原子時計を基準に299792458分の1秒間に光が美空中を進む距離と定義した。人間，子午線，原器，光の波長，原子とより精密な世界に向かって定義を求め，身体の中の尺度を外在化し，確認可能な人工物を経て，精密な原子の活動に移行している。